故新藤兼人監督の孫で、映画監督の新藤風が11年ぶりにメガホンをとり新作「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」を撮り上げていたことが明らかになった。昨秋にオール沖縄ロケを敢行した意欲作で、慶良間諸島・座間味村を舞台に、音楽が人と人をつないでいくひと夏の物語。注目の子役・伊東蒼と女優の安藤サクラが主演を務めている。 今作のタイトルは、島々の清らかで美しい佇まいを歌い上げた普久原恒勇の沖縄民謡「島々清しゃ」からつけられた。耳が良すぎて少しの音のズレさえも頭痛のタネになってしまう少女・うみ(伊東)と、コンサートのために東京から呼ばれて島へやってきたバイオリニストの祐子(安藤)が出会い、心を通わせていく姿を描く。 「転がれ!たま子」以来のメガホンとなった新藤監督は、磯田健一郎氏が執筆した脚本を共に改稿していくなかで「うみとうみの家族の物語を軸にしたい、そこには自分自身の親子三代のそれぞれの思いというものを」と気持ちを強めていったという。さらに、「苦しくてもまっすぐ自分の望むものに突き進むうみの対比として、どこか逃げているような生き方をしている大人たちを描くことで、わたし自身を投影することができ、次第に作品に対する思いが深まっていきました」と明かした。 宮沢りえ主演最新作「湯を沸かすほどの熱い愛」(中野量太監督、10月29日公開)に出演する伊東は、「安藤サクラさんと一緒にいると安心できたので、リラックスしてお芝居することができました。安藤さんとお芝居ができて幸せだなと思いました」と撮影を述懐。現場で丁寧な演出を受けた新藤監督に対しては、「『蒼ちゃんがうみちゃんで良かった』と言われた時は本当にうれしかったです」と感謝をにじませる。 第39回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した安藤は、「『島々清しゃ』で過ごした時間、五感に残る記憶のすべては生涯のたからもの。今も私に勇気をくれます。島の力、音楽の力、そして子どもたちの力。この三つの力は無限大!」と独特の言い回しで、コメントを寄せた。 「島々清しゃ」は、2017年の正月第2弾として東京・テアトル新宿ほか全国で公開。
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